本製品は、H形鋼に鋼板（プレート）を溶接して製作された吊り金具（吊り治具）です。設備や構造物の吊り上げ・据付時に、ワイヤーやシャックルを安全かつ安定して取り付けるための固定部材として使用されます。製品は一品ごとの設計対応が基本で、吊り荷の形状や重量、使用条件に応じた最適な仕様で製作されます。
製作方法
鉄工所の協力会社により、溶接から表面処理（塗装・メッキ）まで加工を行います。
鋼材・材料に強い弊社と溶接加工の得意な鉄工所との連携により、完成品にてご提供します。
- H形鋼の切断・下処理
用途に応じた寸法にH形鋼を切断し、接合面をグラインダーで整えます。 - 鋼板（吊り部・ベース）の切出し・穴加工
吊りポイントとなるプレートを加工し、シャックルやボルト用の穴を開けます。必要に応じて面取りも実施。 - 位置出しと溶接
部材を固定し、溶接により高強度で接合します。 - 溶接後の仕上げ処理
溶接ビード確認・バリ取りを行い、使用現場に応じて防錆処理や塗装を実施します。
ノウハウ
- 安全係数に基づいた設計対応（設計はお客様にてお願いします。）
吊り作業での使用を前提とするため、荷重条件に応じた安全係数の設定が不可欠です。必要に応じて補強リブプレートや厚鋼板の採用が必要です。 - ワイヤー角度を考慮した吊り穴の設計（設計はお客様にてお願いします。）
実際の吊り角度に応じて、穴位置・向き・プレート形状を最適化。真上吊り、角吊り、横吊りなど用途により設計変更に柔軟に対応します。 - 現場作業性を意識した構造
取付け作業がスムーズに行えるよう、取付ボルトの逃げや工具スペースを確保した設計を実施しています。
注意点
- 荷重方向・偏荷重のリスク
使用条件により片吊りや偏荷重による応力集中が発生する恐れがあります。設計時に十分な評価が必要です。 - 現場との寸法整合
取付ボルトピッチや吊り高さなど、現地据付との整合が重要なため、寸法確認・図面支給の徹底が必要です。
用語解説
- 吊り金具（つりかなぐ）
重量物をクレーン等で吊るために取り付ける鋼製部材。吊りピース、吊り治具、リフティングブラケットなどとも呼ばれます。 - H形鋼
断面が「H」型の構造用鋼材。強度・剛性に優れ、荷重を支える部材として広く使用されます。 - プレート（鋼板）
吊り穴や取付け基礎として使用される平鋼板。設計に応じて穴あけ・面取り・補強が施されます。 - リブプレート（補強板）
主に溶接部や吊り穴周辺に追加される三角形や矩形の補強板のこと。荷重時に発生する応力集中や変形を抑えるために取り付けられ、部材全体の強度と安定性を向上させる役割を果たします。吊り金具やスプレッダービームなどの安全性が要求される構造物には欠かせない要素です。
